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- 歯周病について
はじめに
歯周病はたいていは気付かないうちに進行し、治療できないほどに重症化することが多い病気です。大人のほとんどの人が歯周病にかかっていると言われ、40歳を過ぎると、虫歯よりもこの病気によって多くの歯が失われます。
しかも歯ではなく歯の周囲組織を破壊するので、健康な歯でさえも、この病気で失われる可能性があります。
しかし歯周病は予防したり、治療することが可能です。歯を失わないためにも普段の歯の手入れと医師や歯科衛生士の治療やアドバイスを受けることが大切です。
こんな方はお早めにご相談ください。
- 歯肉に触れると痛い。
- 歯肉から出血する。
- 食べ物をしっかり咬めない。
- 歯肉が後退して、歯がより長く見えるようになった。
- 何本かの歯が動揺して、歯の間に隙間が見られる。
- 大量の歯石がついている。
- 口の中で嫌な味がしたり、息が臭いことがある。
歯周病とは
虫歯が歯そのものの疾患であるのに対し、歯周病は歯の周りの組織(歯根膜、歯茎、歯槽骨など)の疾患です。
最初は歯肉の軽度の出血や腫れにはじまり徐々に進行し、歯が少しずつグラグラしはじめ最終的には抜け落ちてしまう恐い病気です。
歯周病は歯の表面につくプラーク(歯垢)によって起こります。
歯肉の炎症による出血、腫れを特徴とする歯肉炎と、歯を支えている歯槽骨が破壊される歯周炎の二つに分けられます。
世間一般で言われている歯槽膿漏は、慢性歯周炎を言いますが歯周病には、その症状、病態によっていろいろな種類があります。
歯周病の症状は、具体的に表すと次の二つになります。
一つは、歯と歯茎の隙間をポケットと言いますが(ミリ単位)、これが深くなります。 深ければ深いほど、悪いといえます。
二つめは、そのポケットの深さを検査するときに、出血することです。
私たちは、この二つの症状があるということで、歯周病であると、診断しているのです。
歯周病の原因
歯周病の原因はプラーク(歯垢)
口の中に常に存在する多種の細菌は、毎日絶え間なく歯の表面に付着し、繁殖し、細菌の塊(プラーク)を形成します。
このプラーク(歯垢)から毒素が歯肉にしみ込みます。
詳しくいうと、この毒素に対して、体のほうで、防御反応として、自己防衛軍である血液が血管から出て、戦った結果、その戦場である歯肉が破壊されるのです。
そして歯肉の縁の周りに残された、たくさんのプラークが炎症を継続させます。
プラークはほとんど歯と同じ色のため、肉眼で見つけるのは困難です。ネバネバした粘着物ですが、歯磨きで取り除けます。取り除かないと石灰化し、硬くなり歯石がつくられます。ここにまた新しいプラークが歯石の上にできあがり、これが炎症をさらに進行させます。
歯周病の治療方法について
歯周病の治療の原則は、深くなったポケットの内外から、プラークや歯石を取り除くことです。
お口の掃除指導
歯周病の原因であるプラークは、毎日付いてくるので、ご自身による日々のお口の清掃が重要です。 まず、現状のブラッシングでどこが磨けていないのかをよく理解していただいた上で、ご自分に合った当院専用歯ブラシを選択しブラッシングの方法を学んでいただきます。
ブラッシングによるプラークコントロールが歯周病治療の第一歩です。
さらに、歯ブラシでは届かないところを磨く他の補助的な清掃器具である歯間ブラシやトゥースピック、デンタルフロス等の選択と使用方法の指導を行います。
スケーリング(歯石除去)
歯石は歯面に付着したプラークに唾液中のリン、カルシウムが混じって石灰化したもので、歯に強固に付着しており、それ自体の病原性はありませんが、表面がでこぼこしていて、歯垢が付きやすいため、一般的に超音波スケーラーやキュレットスケーラーを使用して取り除きます。
根面デブライドメント法
ポケット内に存在する細菌や毒素を取り除く治療ですが、昔のように、手用の器具でガリガリ削り取るのではなく、超音波の器具で、優しくソフトに取り除きます。麻酔もほとんどの場合必要ありません。
フラップオペレーション
歯槽骨の破壊が大きく、歯周ポケットが深い場合には、ポケットの外から器具で歯垢や歯石を取り除くことは不可能です。このような場合には、歯肉を開いて歯根を露出させ歯垢や歯石を取り除きます。
再生治療
エナメルマトリックスデリバティブ(エムドゲイン)という豚の歯胚(歯のもと)から生成した接着剤の役目を持つものや、線維芽細胞成長因子(FGF)を用いて組織の再生を促すリグロスという薬剤をフラップオペレーションとともに用いて、歯周組織を再生させる治療を行っています。
メインテナンス治療
治療が終わった後に継続して、その良い状態を維持することを言います。
そのためには、歯科医師のチェックと歯科衛生士による専門的なお口の清掃(プロフェッショナル・トゥース・クリーニング)を定期的に行います。
歯周病は痛みが無い為に発見しづらいものです。
最低でも半年に1回は定期的にチェックを受け、進行した歯周病の治療が終わった方は、1~3カ月のサイクルで来院され、安定した歯茎の状態を管理していくことが大切です。